福祉系の業界によくある離職理由について

福祉や介護業界では人手が足りないということは、よく聞く話です。
人材不足というのは人がどんどん辞めていってしまう、もしくは新規事業が軌道に乗り、事業拡大のために人員を募集しても、人材が集まらないといったパターンをイメージするのではないでしょうか?
福祉や介護業界の場合は、どちらかというと、前者に該当するかもしれません。
それではなぜ、これらの業界では、人手不足が起こるのでしょうか?

その理由は大まかに二つあると考えられます。
一つは賃金の問題です。
介護事業所は国から報酬を得ることになるため、国が定めた介護報酬によりスタッフの給与がまかなわれます。
この介護報酬が上がらない限り、賃金を上げることはできないため、仕事が増えてもそれに見合った給与が得られないのです。
そのため、介護施設に就職したものの、賃金の低さと業務の大変さにギャップを感じ、別の業界に転職をしてしまう人が後を絶たないといわれています。

二つ目は人間関係の問題です。
介護や福祉業界で働く職員は社会的に弱い方を擁護し、援助する側であるため、一般の人より人に対する思いがとても強いようです。
これは決して悪いことではないのですが、利用者との距離感を間違ってしまったり、想いの強さから他の意見を聞くことができなくなると、職場に馴染めなくなってしまいます。
仕事における第一優先事項は利用者へのサービス提供ですが、時には介護への熱い想いが職員との軋轢を生み、人間関係が悪くなり、離職につながってしまうということもあるそうです。

上記の二点は、介護職員の離職理由の代表的なものですが、賃金の向上は難しくても、職員の軋轢を少なくし、福祉業界で働くことがその職員にとっての生きがいとなる職場作りをしていくことは可能です。
実際、そのような取り組みを行っている施設も増えており、離職率は徐々に低下しています。
しかし、介護のニーズは今後高まる一方であり、環境を整備しても有効求人倍率の高まりはまだまだ続きそうな勢いです。