増え続ける介護業界の有効求人倍率の理由

介護業界の有効求人倍率は、右肩上がりに増え続けています。
平成20年のリーマンショック後の一時期のみ、他の産業と同じように介護業界の有効求人倍率も大幅に下降しましたが、平成23年度からは再び上昇に転じ、平成28年度には3倍を超えました。
これは、全職業の有効求人倍率1.36倍に比べて、2.2倍も高いことを示しています。
1名の求職者に対して、介護サービス事業所の3社中2社は、新たに人員を採用できない状態ということです。

それでは、なぜそのような状況になっているのでしょうか?
介護業界が人気がないために、いつも人手不足なのかというと、決してそのようなことはありません。
実は、介護職員の数は年々増加を続けています。
平成27年度の介護職員数は、183万人ともいわれており、平成15年度の倍以上に及んでいます。

では、そんな介護業界の有効求人倍率がなぜ常に高いのかというと、介護職員の増加以上に介護を求める要介護者が増え続けているからです。
平成12年度には218万人だった要介護者は、14年度には300万人、17年度には400万人に達し、27年度には600万人を超えているのです。
日本全国で高齢化が進んでいますが、都市部での急速な増加が際立っており、介護職の都道府県別の有効求人倍率では東京や愛知が上位を占めています。

このように、日本では世界でも類を見ないスピードで高齢化が進んでいます。
介護業界は離職率の高いイメージが根強いようですが、実は有効求人倍率が高い一番の理由は、高齢化社会の加速にあるのです。